「関西音楽シーンの活性化をスタジオからお手伝いする」関西リハーサルスタジオ連絡会の定例会において、関西ハンドメイドエフェクターの聴き比べイベントが行われました。JAM's Factory、TDC(STUDIO YOU)、えふぇくたぁ工房、マキノ工房から提供されたユニークなオリジナル機が、デモンストレーター:広吉氏(STUDIO F所属)によりジックリと弾き比べ・聴き比べされました。
高校生のお小遣いでできるモディファイを! ●JAM's Factory
トップの道頓堀・JAM's Factoryからエントリーされたのは、ハンドメイド物ではなく、既製品をパーツ変更で「どこまでグレードアップできるか?」に挑戦ということで、BOSS/SD-1とIbanez/TS-9と言う定番製品のモディファイ物を出品。確かに、聴き馴れた“アノ音”なのですが、聴き比べてみると“艶(つや)”と“ハリ”の違いがハッキリと判ります。SD-1はオリジナルよりも多少ノイズがアップしますが、暴れるドライブサウンドが魅力、TS-9は柔らか目の音ですが透明感が特徴的です。モディファイのテーマは「バンドの中で“ヌケる”音(近年ブースターと言えば“音ヌケ”ばかりが注目されますが、ヌケれば良いというものではありません。バンドのアンサンブルの中で“良い音”になることが重要)」と、若手育成に力を注ぐ同店ですから「高校生のお小遣いでもできるモディファイ」だそうです。
ギターのVo.調整で歪み感を思いのままに ●TDC
吹田のスタジオ、STUDIO YOUから生まれた新ブランドTDC(ザ・ディストーション・カンパニー)からはクランチ・ブースター「TDC-001」と「TDC-001 HOT」の2機種。いずれも、ナチュラルにそして「クリーンにブーストする!」新感覚のブースターです。歪みモノをブースターとして使用する場合、よく問題となるのが“音ヤセ”。音のレンジを保ったままブスートできるブースターというものは案外有りそうで、あまり無く、あきらめているプレイヤーも多いのが実情ですが、TDCは音のレンジを保ったままブーストしてくれ、ギター側のVol.調整で歪み感を思いのままにコントロールできます。「TDC-001 HOT」はカッティングプレイの際「もうひとつ“前に出したい”けど歪ませたくない…」という時に最適です。
“下げる”時こそブースターぢゃ! ●えふぇくたぁ工房
えふぇくたぁ工房は新ブランド“いっぺい”からの新機種2つと楽器店トレジャーパワーとの共同企画による、新作オーバードライブの3機種で参戦!ブースターの使い方と言えば…「ココ一発!」ソロの際に踏んでVol.アップさせるというのが一般的な考え方ですが、同工房は「ブースターは“上げる”モノではなく“下げる”モノ」という逆転の発想で挑みます。バッキング時にこそ「ON」にし、バンドアンサンブルにおいてVol.を下げた事で起こる「ハイ落ち」や「音のくぐもり」を解消し、常に艶とハリのあるトーンを得る事ができます。そしてソロの際にはギター側のVol.をUPし「音を開放してやる!」というのが同工房の発想です。まるでギター側のVol.コントロールがエフェクターになってしまったかのような感覚です。
正統派、しかしアイディアは満載! ●マキノ工房
いかにもハンドメイド!という無骨なルックスの4機種で参戦のマキノ工房は、実に正統派の「使えるエフェクター」造りが特徴ですが、ユニークなアイディアの持ち主でもあります。3コントロールのオーバードライブは3段スイッチでブースター・ドライブ・ディストーションと使い分けることができ、その音色は「どう使っても上品」でとても使いやすい逸品です。一方2ゲイン・3トーンによるディストーションは実に多彩な音造りが可能で、エフェクターというよりも、上質のプリアンプとして使う事ができるスグレ物です。また参加者に大ウケだったのはリングモジュレーター付のファズ。強烈な歪みの中、ボディ左側のコントローラーを足で「ウニャウニャ」廻せばサイケな世界を作りだせます。どう使う?かは別として70年代好きなら「欲シィ!」と思わされる作品です。
●デモンストレーター 広吉冬樹 STUDIO F所属
通常の楽器屋さんではなかなか見かけない関西のハンドメイドエフェクターを集めて一気に試奏できる、というめったにないオイシイ機会をいただきまして、全国のギターキッズには申し訳ないですが「関西でギターやってて良かった」と思える日でした。4社製品すべてを通して思うのは「実戦で即使える」ものばかりであったという事です。
JAM's Factoryのモデファイものは、定番製品の「あぁ、ここがもう少しこうだったらいいのになぁ」って思いを、正に「痒いところに手が届く」感じにモデファイされていて、それでいてお値段もリーズナブルな様で好感度アップです。
TDCのブースターは「原音に忠実にクリーンにブースト」させるというシンプルな設計思想が如実に現われていて好印象でした。高級志向派のギタリストには必ずウケるでしょう。
えふぇくたぁ工房の製品は正に「目から鱗」の連発。「ブースターは音量を下げるものとして使う」「エフェクター単体だけでなくギターからアンプまでをトータルでコーディネイトしていく」‥、という今まで思いつきそうで思いつかなかった発想の数々には「なるほどー」と唸らされました。
マキノ工房は「正統派から変態系」まで幅広いラインナップで、中でもオーバードライブの歪みの美しさは個人的にはベストヒットでした。「欲しい」って素直に思いました。
それぞれ四社四様の設計思想があり、それぞれ独自の進化とクオリティで関西のエフェクターの層の厚さを改めて感じた日でした。全国の皆さんも「関西のハンドメイドエフェクター」に注目して、ゼヒ!各お店・工房に足をお運びいただき、そのサウンドを試してみてください。必ずあなたに合った一台が見つかりますよ!
関西リハーサルスタジオ連絡会事務局より
スタジオ連絡会で3度目となった催し物、今回は「歪みモノ対決」となりました。過去、「シールド聞き比べ」「スネヤの聞き比べ」と挑んできましたが、今回は過去に負けない良い聞き比べとなりました。プレイヤーの広吉には、出せるものは惜しみなく出していただきリスナーの僕たちはいろいろな感性をもったエフェクターを堪能しました。個人的な感想としてどのエフェクターにも熱い思いがあり製作者の意図が明確に現れているのでそれぞれ最高な仕上がりとなっていたと思います。正直、優劣をつけれるとかではなくプレイヤー次第だと思う作品ばかりでした。このように関西音楽シーンで素晴らしい作品が全国に向けて発信されていることを誇りに思い、スタジオも負けないように頑張っていこうと思います。
TOPICS
BOSS/SD-1(上)とIbanez/TS-9(下)ノーマル仕様のモノとJAM'sモディファイ仕様が聴き比べられました。
TDC
STUDIO YOUから生まれた新ブランドTDC(ザ・ディストーション・カンパニー)のクランチ・ブースターTDC-001(上)とTDC-001 HOT(下)。
新ブランド「いっぺい」による、えふぇくたぁ工房の新作。ジェネレーションギャップ(上)はスイッチ切り替えで“音場”の劇的変化を味わえます。
プリアンプとして使えるKING DRIVER(上)とサイケサウンドで会場を沸せたSPACE MOLE-3(下)。
取材協力
Live House ism =イズム=
 〒542-0025
 大阪市都島区片町2-4-5
 京橋駅前ビル3F
 TEL.06-4800-0609
STUDIO F
 〒534-0074
 大阪府大阪市中央区千日前1-2-7
 TEL.06-6213-5383
関西リハーサルスタジオ連絡会
レポート:2008年7月15日(火)