先にパシフィコ横浜で行われた「2007楽器フェア」のために来日していた、フェンダーカスタムショップ・マスタービルダーのJohn Cruz(ジョン・クルーズ)とマーケティングディレクターのMike Eldred(マイク・エルドレッド)の2人が11月5日、大阪にやって来ました。なんと大阪・MARS' GUITAR店内においてインストアイベントが行われるとのこと!マスタービルダーの妙技を目の前で観ることができる!こんなチャンスは滅多にナイ!と行ってまいりました。
まずはデモンストレーション!

66ストラト・ヘヴィーレリック・フロイトローズの
セットアップ実演と細部にわたる解説からスタート。
「カルフォルニアのカスタムショップ工場で普段やっているのと、同じやり方をお見せします」というジョンの言葉からセットアップ実演は始りました。用意されたのはオリンピックホワイトの66ストラト。もちろん素晴らしいレリック仕上げがほどこされています。今回はそのオールドストラトに80年代ROCKのハードなプレイに合せて、フロイトローズとリアにハムバッカーを搭載されたギターを組み上げて行きました。テキパキと作業を進めながら、細部にわたる解説が行われます。ジョンが特に気を使っているのは、グリップフィーリングとネックジョイント。グリップフィーリングは演奏性に大きく影響する部分でありますから、手へのフィット感は特に神経を使うそうです。指板も長年使い込むことによって生まれる“使いやすさ”を創り出します。そしてネックポケットはジャストフィットするよう、必ず丁寧に手作業で仕上げられます。
細部にわたるまで強いコダワリ!

レリック仕上げに関するジョン・クルーズ流のコダワリ
をタップリと聴いてまいりました!
サテ…気になるレリック仕上げのコツ(?)そこはビルダー一人一人違ったコダワリや方法があるそうですが、ジョン・クルーズ流のコダワリとは?笑いながら「最近こってる」と言っていたのが“ネジの錆具合”。ピックガードを固定する8〜11本のネジ。同じギターのものなら皆同じ錆具合というワケではありません。手がよく触れるブリッジ付近のネジはサビの進行も早く、古いものは真っ黒になっていることが多く、逆にカッタウェイ付近で手があまり触れることのない箇所のネジは錆の進行は遅くなります。それらを自分なりに考察しながら、1本1本丁寧にエイジング加工が施されるそうです。又60年代のニトロ製ピックガードは1回はずすと、それだけで収縮がおき、再度装着する際にワレが生じることが多く、年代によってはそれらピックガードのワレ具合にも考察が必要とのことでした。又カスタムショップの工場内には木材ブースがあり、ビルダー自身により製作するギターの年代或いはオーダー内容に合せて、木目の詰まり具合から角度などを細かくチェックし厳選されるそうです。
[秘]オーダー実演?!

観客の目の前で、MARS' GUITAR辻店長が
ジョン・クルーズへの公開オーダー。
セットアップ実演後は、MARS' GUITAR辻店長が観客の目の前で、ジョン・クルーズへの公開オーダーを行いました。辻店長がカスタムショップの工場でマスタービルダーのベンチでオーダーされる際の“2ショット”の再現です。たっぷりと30分以上の時間をかけ、綿密な打ち合わせの下、1枚のオーダーシートが出来上がりました。その中身は?と言うと…それは秘密!カスタムショップではお客様個人からのパーソナルオーダーは受け付けられておりませんが…それは、お客様に深い満足を提供するパーフェクトなギターのためには、オーダーする側にも豊富な経験と知識に基づく“プロ”の仕事が求められるからです。そんな“プロ”の仕事を目の当たりにできた貴重な時間でした。前記のオーダーシートを元にこれから、e-mailやFAX等でさらなる意思疎通を計りながら、そのギターはいずれMARS' GUITARさんに届けられます。MARS' GUITARさんにはジョン・クルーズはじめ、フェンダーカスタムショップ・マスタービルダーたちの手による至極のギターが展示されています。若いプレイヤーには“目玉の飛び出るような”価格かもしれませんが、その1本1本は、価格以上の価値と満足を得られる1本であります!
Fenderの次の50年のために!

最後に行われた質疑応答タイム
ナカナカ鋭い質問も飛び出しました!
「本物のヴィンテージにしか出せない音がある…そんな話を聴くこともありますが、その辺りについてはどのようにお考えですか?」と、鋭い質問が飛び出した!しかし、まずマイク・エルドレッドが自信を持ってこう切り出しました。「例えばここに、1960年製のストラトキャスターが10本あったとしましょう。果たしてそれら10本が全て良いギターと言えるでしょうか?」そう!今ではヴィンテージと呼ばれるギターも、造られた当時は量産品の内の1本として製造されています。必ずしも、今ジョンをはじめとするマスタービルダー達の手を通過したギター達の様に1本1本丁寧に仕上げられているとは限りません。アタリ・ハズレというのもあるでしょうし、それに約50年という時間を各々がどう過ごしててきたかによってもそのコンディションは大きく異なります。「ビルダーによりやり方はそれぞれありますが、フェンダーカスタムショップからリリースされるギターはどれも私たちが誇りを持って皆様にお届けできるギターです!」そしてジョンもこう続けます。「ストラトキャスターは3年前、50周年を迎えました。もちろん古いものへ対してリスペクトする心に変りはありません。が、私たちには次の50年に対しても責任を持っております。そのためにも多くの人々とコミュニケーションととり新しいアイディアも活かしていきたいと考えています。ですから今日の様に、こうして実際に私のギターを買ってくださるお客様と直接コミュニケーションを計れる機会は貴重な経験です。これから、より親身になって皆様の事を思いながらギターを造って行くことができます。皆さん、一緒にFenderの次の50年を創って行きましょう!」自信と誇りに満ちた言葉を残し、二人は帰路につきました。
レポート:2007年11月5日(月)
TOPICS
●John Cruz
1963年カリフォルニア出身。1986年フェンダー入社。J.ブラック、J.イングリッシュに従事し製作テクニックを習得する。彼自身プレイヤーであるため、プレイヤーの立場に立ったギターを製作する。ジョン・メイヤー、ジミー・ヴォーン、ダグ・アルドリッチ、イングヴェイ・マルムスティーン、ミック・マーズ、ディヴ・アマト、リッチー・サンボラ、ダフ・マッケイガンら超一流ミュージシャンが彼のカスタマーにいる。
●できあがり!!
迅速かつ丁寧な作業でセットアップされた「66ストラト・ヘヴィーレリック・フロイトローズ」!会場のお客さんが、即お買い上げ!ジョン・クルーズご本人より「White Night」というニックネームがつけられました。
●Jeff Beck Tribute ESQUIRE
当日展示されたジョン・クルーズ製作ギターの内の1本。
●'61Stratocaster Heavey Relic
・Offset Center Body
・9,5R Rark Color Rosewood
 Slub Fretboard
・American Vintage Frets
・QT Sawn Maple Neck
・JC Ltd. Pickups
通常販売価格¥707,000
●'63Stratocaster Heavey Relic
・Offset Center Body
・7,25R Rark Color Rosewood
 Round Raminated Fretboard
・American Vintage Frets
・QT Sawn Maple Neck
・JC Ltd. Pickups
通常販売価格¥698,000
●取材協力●
今回、我々を招待していただき、又このイベントの会場となったMARS' GUITAR(マーズギター))さんは「カスタムショップ製品において日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフに対し、フェンダー社カスタムディヴィジョンスタッフ公認のもとフェンダーカスタムショップ日本輸入総代理店である山野楽器海外事業部によって認定される」フェンダーカスタショップ・セールスエキスパートです。

時代を越えて 輝ける響きフェンダーカスタムショップ…株式会社山野楽器が運営するアメリカのエレクトリックギターメーカー、フェンダーィ カスタムショップのウェブサイトです。商品カタログ、ブランドの歴史、製造工程、取扱店、マスタービルダーの紹介などを公開しています。