●BASSNINJA/今沢カゲロウ

●写真:キングレコード
「世界で最もクレイジーなコスモポリタンベーシスト」(ドイツ『ベースプロフェッサー誌])と呼ばれ、ベース1本で世界を渡り歩くBASSNINJAこと“今沢カゲロウ”。心斎橋でのベースクリニック・『渚音楽祭2008』の出演のため来阪とのことで、緊急キャッチしてまいりました!
音楽に興味を持たれるようになったのは?
両親がマスコミ界に務めていた関係でマイルス・デイヴィスやチック・コリアのレコードが普通に家にあって、ボクは何も知らないままオモチャみたいにして聴いてたんです。それこそスタンリー・クラークのピッコロベースやテナーベースの音が何の楽器からも判らず、当たり前のように聴いてました。小学生の時は「全米トップ40」マニアでもあり、中学に入って、何の抵抗もなく…まず皆さんと同じようにフォークギターを手にしました。
ベースに転向されたのは?
「そろそろ、エレキギターだな」と思い楽器店に入り、ギターの他、エレキベースも触らせてもらった時に「グルーヴだとかハーモニーだとか…自分で感じた事を表現するのに、エレキギターよりも凄くダイレクトに表現できるような感じ」がしたんです。それに、基本的にギター属なのでメロディーも奏でられるし…まだ歴史の浅い楽器でしたから「これはヒョッとしたら“未来の楽器”になるかもしれない!」と思いプレジション・ベースのコピーモデルを買いました。
当初は相当変った練習されてたそうですね?
北海道の郊外に住んでましたから、中学生のベーシストに対して「それは変ってる」とか「邪道だ」とかを言ってくれる人もいませんでしたし、余りにも楽器の事が好きすぎて、ヴァン・ヘイレンからジェフ・ベックからジョン・コルトレーンのサックス、マクラフリンのギターと…好きに任せて全部プレジション・ベースでコピーしてましたね。3ヶ月目で「もっと喋るようにベースを弾いてみたい」と思い、フレットを抜いて…それから、色んなギタープレイヤーのアーミングのアプローチを聴いて「これも捨て難い」と思い、ミュージックマンのコピーモデルを入手し、それにケーラーのアームを付けました。高校に進学して札幌に出てきて「何だコイツは?!」ってことになりましたね。
メトロノーム聴きながらベース抱えて通学してたってのは本当ですか?
本当です。相当あれで友達を失ったかもしれない(笑)。メトロノームは中学・高校・大学時代とずっと持ち歩いて、ウラ拍で歩いたりしてね。
大学進学を機に上京し、在学中にプロ活動を始められますね。
「何がナンでもプロになる!」というよりかは「24時間、音楽の事を考える」というような生活をしたいと思っていて…そうすると、もうプロになるしかないと。
その頃は、バンドプレイヤーとして“普通”のベース演奏だった訳ですよね?
当時ベースの場合、セッションで呼ばれたり、パーティーで演奏してみたり、バンドで成功するか、或いはヒトに教えてみたりとか言う選択肢しかない頃でしたから、当然自分の音楽で生活をするというより、“一般的なベースの仕事”をいただいて、やっていました。子供の頃からあった自分のアイディア…「ベースという楽器を通じて色んな表現ができるハズだ」という気持ちはありましたが、なかなか現場ではやる機会がなく…自分のアマチュアバンドや仕事の中でも時々アイディアを小出しにしたりしてましたが、あまり評判は良くなかったですね。
そんな中で現在のソロパフォーマンス活動へのキッカケはあったのですか?
その頃は全くなかったですね。「このやり方に可能性がある」と思えるようなリアクションも得られませんでしたから「自分の考えている事は間違ってるのか?」「世の中にいらないモノなんだろうか?」とも思いました。だけど「そんなに出鱈目にやっているワケじゃないし、自分の中では子供の頃から一貫したものがあってやっている事なので、そんなに間違った事ではないはず…世の中の人々に聴いてもらわなければ!」と思い、日本の中だけじゃなくアメリカやヨーロッパの人々にも聴いてもらおうと考え、大学を卒業してスグにヨーロッパへ行きました。
ヨーロッパに渡ってからはどんな活動をされましたか?
最初はやっぱり請け負う仕事はセッションなのですが、JAZZコンボの仕事なんかだとソロコーナーというのがありますよね。そうすると、どんなバンドでもバンドへの拍手よりもベースソロへの拍手が大きく、終った後お客さんやプロモーターの方々が自分を囲んでくれるという状況が続き、いつのまにか「彼のやりたい音楽」「彼のコンサート」をやらせてみてはどうか?という声が生まれてきました。そうして色々な所で演奏するようになり、あるロックフェスティバルのパンフレットを開くと自分の名前の先に「BASSNINJA」という名前がクレジットされていて…「あ〜こんな名前で一人歩きしているんだな」と思いながら演り続けているうちに、アルバムを出す話になりました。ヨーロッパではインディペンデントな音楽のネットワークがかなり確立していて、普通にビジネスとして成立していたので「やってみよう!」という気になりました。
2006年からのキングレコード「電気低音シリーズ」で日本でもメジャーになりました。メディアでは革新的ベースプレイヤーの側面がより強調されますが、昨年京都で観せていただいたパフォーマンスで「BASS NINJA」の本質は、楽曲のクオリティを含め、幅広く、完成度の高い音楽性そのもの…そして純粋に“聴いて楽しめる音楽”である事だと感じたのですが。
マサに目指している所はそこです!最初はどうしてもお客さんもアマチュアのベースを弾かれる方の比率が高く、音楽を聴きに来たというよりも「技を盗もう」というムードが強いのですが、2回・3回と同じ街を訪れると女性比率が高くなるんです。ベースを弾く彼に連れて来られた彼女の方が「音楽」にハマって、次は友達を連れて熱心なリピーターになってくれたりですとか、今では楽器を弾かない人たちでも、大勢“ボクの音楽を楽しみ”にきてくれています。
近年、日本でも“インストもの”へのある種の偏見が薄れ、一般のリスナーもこの種の音楽を気軽に楽しまれるようになって来たと思いますが。
そうですね、最初はあんまり日本のマーケットは考えていなかったのですが、最近では日本でも、この種の音楽を「聴いてもらえてるな」と感じていますので、インターナショナルな活動はしながらも、日本でも“こういう音楽”を聴いていただける方々にはラジオやTVなどでもしっかりと発信し、音楽を届けて行きたいと思っています。
それでは今後の展望を!
ボクの場合、この楽器を弾くというよりは、この楽器が臓器のひとつとして身体にくっついている…「自分を表現するのにはベースが一番良かった」のでベースを弾いている、というだけなんです。もちろんバンドの中での「ベースかくあるべき…」という部分も大事にしていますが、せっかく“ギター属”で、しかもこんなに短期間で様々な進化を遂げてきている楽器ですから、プレイヤー側でその可能性を狭める事はないと思います。ベースという楽器にかかっている“ストッパー”“バリアー”をどんどん外して、面白い音楽を作っていければと思っています。そしてコンサートに来ていただけるお客さんには、エンターテイメントの形態の一つとして、観劇やスポーツ観戦と同じように音楽を楽しんでもらいたいと思っています。この楽器がベースなのかギターなのか判らなくてもイイんです。入場料分以上に楽しんで、しっかり元をとって帰ってください!ボクのコンサートには「昆虫漫談」のコーナーが目当てで来られる方もいるんですよ。
ところで…そこまで昆虫に惹かれるのは?
やっぱり、身体能力の高さや無駄を一切省いた動きですね。自分が演奏する時の考える哲学に通じるものを感じますし、彼らから学ぶ事は多いです。世の中の様々なテクノロジーに昆虫のメカニズムは応用されていて、例えば蚊の針なんですが………この後は昆虫談義に入ってしまいましたので、今日はこれでお終い。
アイディア、そしてそのアイディアを見事に表現し切るテクニック・パフォーマンスは圧倒的です!しかし、決して堅苦しい“Musician's Musician”の音楽ではありません。インタビュー中にもあるように、その音楽は聴いて楽しい!良質のPOPミュージックです。ゼヒ、BASSNINJAのパフォーマンスを体験してみてください。
インタヴュー:2008年10月3日(金)
photograph
ベースはMOONのMBC-6。
●6弦仕様のフレットレス
●BODY:マホガニー(コア)ウォルナット(外回り)
●ネック:エボニー指板onメイプル
●PU:バルトリーニ
●ブリッジ:駒にKTSチタンパーツ使用
●サーキット:TCT。アクティブ・パッシブ切替可でミドルブースト付
●色:メタリックゴールドサンバースト
●弦:高音弦より
032・040・060・080・100・130
●回線1
ローランドギターシンセGR-20→ロックトロン・トークボックス→BOSSループステーション→ベースアンプ
●回線2
ローランドギターシンセGR-20→ティンカーベルサウンド・ファズ→ギターアンプ 今回は“歪み系サウンド”を使用するという事でファズが使用されていますが、RCブースターの場合も有り。又現地でアンプが調達できない場合はトライロジックのプリアンプが使用されます。2002年よりループステーションが使用されていますが、それ以前は普通のホールドディレイとピッチシフターディレイを組み合わせて、あのループプレイを行っていたそうです。
関連リンク
Now on SALE!
Bassist, Electric
フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)以降、長らく味わえなかった“ロック・ベースの衝撃”をようやく与えてくれたアルバムが登場!今沢カゲロウの新作です。
KICJ-537 ¥2,800
BassNinja DVD
今沢カゲロウの驚異的パフォーマンスを初のDVD化!ゲストにArtHand(ドラム、パーカッション)を迎えたワンマン・ライブの映像では、“一人32ビート”、“人間メトロノーム”などの離れ業パフォーマンスを、ライブの熱気そのままに完全収録。
KIBM-418 ¥4,200